アンディ

アンディ・シュレクが怪我の為、ツール・ド・フランス不出場だそうです。

彼は2010年こそコンタドールの失格で総合優勝者として歴史に名を刻みましたが、まだシャンゼリゼのポディウムで頂点に立ったことはありません。

今年こそ、誰に遠慮も無く中央に立つことを思い描いていたでしょうが、残念な結果になってしまいました。

気持ちを切り替え、来年の優勝を目指して欲しいのですが、個人的には「最大のチャンスを潰してしまったかな?」と思ったりもします。

なぜなら、今年はあのコンタドールが出場しないからです。

ずっと彼の後塵を拝してきた訳ですから、単純に考えたら、アンディが繰り上がって優勝というのは、誰もが思い描くシンプルな予想です。

もちろん、そう思い通りにいかないのが勝負の世界だという事は分かっていますが、それでも下馬評でアンディが優勝候補筆頭なのは間違いありません。

これは「もしランスがいなければ、ウルリッヒが連覇を成し遂げて、歴史に名を残していたに違いない」という類いの発想と同じです。

実際は残念ながら、ウルリッヒは“エターナル・セカンド”として皆の記憶と記録に残っています(事実はランス以前に優勝してますが)。

仮にそのもしが現実になっていたら、どうなったでしょう?

(あくまで私の勝手な空想ですが)ウルリッヒの連覇はおろか、“エターナル・セカンド”にすらなれなかったのではないでしょうか?

ランスとウルリッヒのツールにかける情熱、というか互いに対するライバル心というのは尋常じゃありませんでしたから「絶対あいつに勝ちたい」というモチベーションが二人を突き動かしていたんじゃないか?という気がするのです。

なかなか人にとって、目に見えない栄誉栄光の為に頑張り続けるのは難しい事だと思います。

やはり具体的な敵やライバルを思い描いて、その相手に勝つという事をモチベーションにする方法が一般的かと思います。

中でもランスは長期的視点に立って、相手を打ち負かす戦略を組み立てたり、ターゲットが変更になってもアジャストする能力に長けていて、ウルリッヒの方が若干(ランスにだけ負け続けたという心理的要因があるにせよ)ランスに拘った分、一歩及ばなかったんじゃないか?と思うのです。

これをコンタドールとアンディに置き換えると、非常に似ていると感じます。

特にアンディはその風貌に似ず、喧嘩っ早くて、強烈な毒や皮肉を相手にぶつけては、しばしば顰蹙を買っています。

そういう弱さや子供っぽさみたいなものが、彼の魅力でもあるので、失って欲しくないと思いますが、王者たる資質としては、必要ないどころか無い方が良いものです。

そしてコンタドール不在のツールに向けて、今まで調子が上がらず、挙句に落車負傷というのは、コンタドールという存在そのものをモチベーションにしてきたアンディにとって、むしろ当然の帰結…と言ったら言い過ぎでしょうか?

ですから、当初「アンディは今年のツール優勝候補筆頭」と言ったとおり、並み居るライバルを打ち負かして、優勝してしまったら、その成長と念願の達成を喜ぶ気持ちはあるのですが、少し寂しいというか、物足りなく感じてしまうような気がするのです。


アンディはツール王者になる資格が十分にありますが、それでもなお手が届かないという悲劇性とドラマにより共感してしまう勝手なファン心理というのは厄介なものです。
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